金融緩和の開始 2019 3 9
「世界各国の中央銀行は、金融緩和の開始を検討すべきである」
そうは言っても、金融緩和の余力があるのは、
アメリカのFRBだけかもしれません。
しかしながら、世界の景気をけん引してきた中国経済は、
明らかに「減速」、いや下手をすれば「バブル崩壊」、
そして、中国発の世界恐慌となるかもしれません。
そこへ「米中貿易摩擦」という大きな問題が加わったのですから、
中国経済の規模は、ひたすら縮小も考えられるでしょう。
中国は、右肩上がりの拡大から、
右肩下がりの縮小は避けられないでしょう。
中国経済の「失われた10年」か「失われた20年」の開始となるかもしれません。
一方、欧州へ目を転ずると、
英国がEUから離脱という問題に対して、
英国経済の弱体化が懸念されていますが、
そもそもEU経済の弱体化を懸念すべきでしょう。
すでにEU経済の拡大というマジックが終わっているところへ、
英国の離脱という大きな問題が加わるのです。
こうしてみると、中国経済もEU経済も似たような状況であり、
弱ってきているところに、大きな問題が加わったということでしょう。
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」
アメリカは、本気で中国経済を破壊するかもしれません。
中国経済の拡大は、アメリカの覇権の終わりを意味しているからです。
「経済大国は必ず軍事大国になる」という歴史法則があります。
「米中貿易摩擦」は、単なる経済問題ではなく、覇権をめぐる問題です。
世界の覇権をかけた戦いなので、損得勘定は考えないでしょう。
さて、中国経済に依存していたEU経済も「道連れ」になるでしょう。
「米中貿易摩擦」は、結果的に、EU経済の弱体化も招くでしょう。
そういうわけで、2019年は、
金融緩和のスタートの年としなければならないのです。
つまり、世界経済が絶壁から転落しないように金融緩和は必要です。
この期に及んで、「金融緩和は必要ない」と考えている人は、
よっぽど楽天的な人です。
私は、2018年12月29日に、
「世界の景気」という文章を書きましたが、
その時、はっきりと「金融緩和の開始」と言うべきでした。
頭の中では認識しているのに、口では出てこないのは、
私は、優柔不断かもしれません。
もっとはっきりと言うべきだったと後悔しています。
世界経済の減速は、想像以上に早かった。
津波が来る時は、潮が沖へ向けて引いていきますが、
そうならないために、予防的な金融緩和が必要です。
世界の景気 2018 12 29
FRBは、将来の景気減速に備えて、
「糊代」(のりしろ)を確保するために、
利上げを続けているかもしれませんが、
金融市場における「引き締め感」は強いものがあります。
ニュースでは、アメリカの株式市場において、
FRBの利上げに伴い、
金利負担の多いハイテク株が売られる傾向にあると、
だいぶ前から言われています。
アメリカの経営者は、現状では、
借金をして新しい事業を始めようとは思わないでしょう。
一方、アメリカの消費者には、
借金をしてまでも消費をするという「借金文化」がありますが、
FRBの利上げは、このような消費にもマイナスでしょう。
さらに、世界を見渡せば、
アメリカのドルに自国通貨の為替を固定させている国が多いのです。
このような国は、アメリカの利上げにあわせて、
利上げをしなければならないのですが、
それでは景気減速となるでしょう。
かつて、「BRICsの時代」と言われましたが、
このような国々は、FRBの利下げがあってこそ、
そういう時代を演出していたのですが、
FRBが利上げを始めると、BRICsの時代は終わります。
これは、FRBの金融緩和によって、
膨れ上がったドル資金が、BRICs諸国に流れ込んでいたからです。
「アメリカ・ファースト」とは、
トランプ大統領の得意とするところでしょうが、
本当は、「FRBファースト」です。
つまり、FRBは、「自己中心的」と言えるでしょう。
アメリカの国債市場では、
一時期、長期金利が3%前後になりましたが、
「ここが天井だろう」と考え、
大量にアメリカ国債を購入した投資家がいるというニュースがありました。
これは、2019年は、景気が減速すると予想したのでしょうが、
このような予想が的中すれば、
3%の長期国債は、「プラチナチケット」になります。